昭和二十年、敗戦の年の十二月。この年は、半世紀に一度の大凶作だった。 信州、松本近郊の里山辺の丘陵地にある庄屋・望月多聞はこの地の村長であり、名士であった。敗戦、食糧難などの事情で望月家の子どもたちやその家族が帰郷してくる。しかし望月家の後 ...
ジャンル“日本語” 88本が見つかりました。
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遠くない未来の日本。瀬戸内海の原発事故により中国地方東部が放射性物質により汚染され、帰還困難区域に指定された世界。事故から8年経過した頃、帰還困難区域で身元不明の男が発見された。男は記憶を失っていたが、遺伝子検索技術を用いて家族と面会するこ ...
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福島県の山奥の山荘に女性達が共同生活をしている。 それぞれが仕事をこなし殆ど自給自足、そんな生活を始めて2年が経とうとしていた。 早春。雪深いこの地方にもようやく春が来たと思った矢先、季節外れの大雪が降る。 吹き荒ぶ屋外を余所に夕食を楽しん ...
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こなことユキユキ、中学生のカップルが深夜の公園で遊んでいる。遊具がそれぞれ絡まり合っているような幻想的な公園。 こなことユキユキが4 つの遊具でエスキモーごっこに興じる一夜の間々に、こなこと母、ユキユキとママの、幼年期・思春期・壮年期の時制 ...
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ポーランドのアウシュビッツ博物館から 東京のホロコースト教育資料センターに届いた茶色いかばん。 かばんにはこう書かれていました。 ハンナ・ブレイディ 1931年5月16日生まれ 孤児 「ユダヤ人」という理由で殺された600万もの人々 そ ...
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戦争末期、東京から東北地方に学童疎開となった啓太と豊は、美しい少女、雪乃と出会い、彼女の家にある常陸坊海尊のミイラを見る。 そしてその後、空襲で家族を失い、その喪失から、雪乃と、彼女と一緒に暮らすおばばに魅せられていく。おばばは、常陸坊海尊 ...
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第1回人間座「田畑実」戯曲賞受賞作品 二〇一七年の秋から冬にかけて。豊かな緑色の町並みから、冬の白い町並みに変わるまで。 渋滞のテールランプの赤い灯りの線が、いつもそこに寄り添う。 朝日ヶ丘は、群馬県郊外に位置し、街全体が盆地にすっぽり収 ...
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三池炭鉱の閉山が間近に迫った頃、ある男が三池の地を訪れた。1960年代の回想。東の安保に対し、西の三池と言われた激動の労働争議の歴史をもとに、炭鉱マンたちの熱い生き様がよみがえる。炭掘る仲間たちと共に、人間の力強さと優しさが深く響き渡る作品 ...
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【あらすじ】 東京。運河のある街と、その周辺の一日。 今日。五月末の月曜日。 春も、もう終わりかなあ、っていう、天気のいい日。 高校三年生のまひろは、半年前から学校に通えなくなっている。 まひろが家に居るあいだも、外の世界は、平常通 ...
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アイザック・ディネーセン著『バベットの晩餐会』を下敷きに、慎ましくゆっくり老いていくだけの町と、そこに起こる奇跡の一夜を描いた作品。