残火
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【なにかの終わりは、なにかの始まりだ】
平成七年一月一七日、日本時間、午後五時四六分五二秒。兵庫県南部を震源にしたマグニチュード7を超える大地震。後に「阪神淡路大震災」と呼ばれるそれを、道久は父親と一緒にテレビで見ていた。
ヘリコプターから撮影される街。あちらこちらから立ち昇る黒々とした煙。飴細工みたいにねじ曲がった高速道路、商店街のアーケード。引きちぎられたように、倒れるビル。逆さにしたおもちゃ箱の様な惨状を見て、幼かった彼は、自分もいずれ地震によって死ぬだろうと信じるようになる。翌年、彼は近所の公園で、同い年の少女と出合う。
彼女は阪神淡路大震災の被災者で、左手を失っていた。
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令和3年度 北海道戯曲賞最終選考作品 -
廃墟文藝部第七回本公演 愛知県芸術劇場小ホール
出演 瀧川ひかる、仲田瑠水、小津山おず(以上、廃墟文藝部)、八代将弥(16号室/room16)、元山未奈美(演劇組織KIMYO/名プロ)、あさぎりまとい、松竹亭ごみ箱(afterimage)、おぐりまさこ(空宙空地)、大野ナツコ -
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