喫煙所
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それだけはもう確かに、そこは喫煙所である。四方の壁は厚いガラス、2つのドア、中央には腰上くらいの高さの机(おそらくは吸煙装置であろう)、背の高い椅子がいくつか。そして、そのどれもが、誰もかれもに忘れ去られたかのように、古び果てている。
男が来る。火がない。火を探す。そして、火種は象を呼ぶ。象はその大きな身体で、やがてすべてを壊し尽くすであろう。その日まで、破滅に満ちた部屋でゆっくりと煙草を嗜むことくらいしか、男にはできない。 -
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