『皆の団地(カイノウチ)』
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「花森ひかり団地」の住人、望月真紀はフリーランスのカメラマン。七歳の時に震災で両親を亡くし、祖父聡の元に引き取られたが、二四歳の時に聡が他界。あることがきっかけで勤めていた新聞社を辞め、遺された自宅兼作業場の三〇二号室にて、女としての生き方に違和感を感じつつ、コンビニのバイトで食いつなぎながら、細々と撮影を続ける日々。
ある日、乳癌を患う元女優沖ナオミからヌード撮影を依頼された。真紀の幼なじみ桜田智子からは、認知症を患う母千代の遺影を、彼氏との仲が危うい幼なじみの広瀬美香からは記念撮影を依頼される。傷を負い、痛みを抱えつつも、家族にさえも寄りかかれない彼女らを被写体にカメラを構える真紀。レンズ越しに見え隠れする光と闇。季節外れの台風。不穏な時間。ぶつけ合う本音。そこから何を拾い、何を手放すのか。再生工事真っ只中の団地を舞台に、五人の〈真実〉と〈再生〉を追う。 -
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