母のこたつに雪ふりつむ
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冬。二月下旬。とある病院の一室。地方に住む劇作家の「私」は、老いた母から、借金がいくらあるのか聴き出そうとしていた。借金まみれで亡くなった父のために、母までもが多重債務者に陥っていた。
この日は、母の心臓のカテーテル検査が予定されていた。だが、病院の対応に不信感を抱いていた母は、「検査は嫌じゃ」と強く抵抗し、私を困らせる。なんとか母をなだめ、検査に向かおうとするが、急に病院側から検査は中止だと告げられる。検査前の数値が悪すぎるのだという。
しかし、母は病院への不信をさらに募らせ、熱冷ましの座薬を入れようとする看護師に、蹴る、叩く、噛みつくなどして病院を勝手に出てしまうのだった………
〇劇作家の「私」が、余命一週間と告げられた母を世話する中で、亡き父の残した借金や、母のわがまま、自分の仕事、妻とのあれこれ(形の上での離婚話)、周りの人々との関わりに、精一杯対応しながら、母を看取る話。
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登場人物は便宜上8人としましたが、「私」「母」「妻」以外のキャストは、何人かの俳優で役を分担して演じてもよい。 -
2022年12月9日に初稿脱稿。未発表・未上演(2023年8月時点)
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