地を渡る舟

  1. それは、文字による箱舟――。

    昭和20年春、本土決戦が叫ばれる街にひとりの男がいた。
    男は敗戦を正確に予期し各地の農家を訪ね歩いていた。
    「その日」を迎えた暁に、ただちに日本を再建するために。
     
    旅する民俗学者 宮本常一。
    日本列島を隅々まで歩き人々の営みを記録し続けた。
    常一を支援したのは戦時下の日銀総裁、渋沢敬三。
    敬三は、自宅に民俗学研究所『屋根裏の博物館(アチック・ミューゼアム)』を設立し
    若き民俗学者たちと共に、この国を描き留めようと力を尽くした。
    けれど真摯な情熱は
    戦時下へ墜ちゆく中で、翻弄され飲み込まれていく……。
     
    宮本常一、渋沢敬三。そして若き民俗学者たちの葛藤。
    記憶されたものだけが記録にとどめられ
    記録されたものこそが時を超える。
    彼らが信じた未来、方舟の行方は。

    ※※※※
    再演上演成果にて、第70回文化庁芸術祭演劇部門新人賞(長田育恵)
    第58回 岸田國士戯曲賞ノミネート
    第17回 鶴屋南北戯曲賞ノミネート

  2. 公演日 2013年11月20日(水) ~ 24日(日)
    劇 場 東京芸術劇場 シアターウエスト
    演 出 扇田 拓也(ヒンドゥー五千回)
    脚 本 長田 育恵(てがみ座)
    舞台監督 杣谷 昌洋 ・ 松澤 紀昭
    舞台美術 杉山 至+鴉屋
    音 響 笠木 健司(クロムモリブデン)
    照 明 シバタユキエ・木藤 歩
    衣 裳 阿部 美千代((株)MIHYプロデュース)
    演出助手 谷村 聡一(ヒンドゥー五千回)
    宣伝美術 山下 浩介
    撮 影 伊藤 雅章
    録 画 彩高堂「西池袋映像」
    制 作 藤田 晶久

    出 演 福田 温子・今泉 舞・箱田 暁史・石村 みか (以上てがみ座)
        古河耕史
        近藤フク (ペンギンプルペイルパイルズ)
        生津 徹
        多根 周作 (ハイリンド)
        七味 まゆ味 (柿喰う客)
        松角 洋平
        原 扶貴子
        中村 シユン
        青山 勝 (劇団道学先生)

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