ジェラシー 夢の虜
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<作者からの挨拶>
2006年に初演した「ミッシング・ハーフ」の舞台は、1940年の上海で、川野万里江というヒロインが登場する。
彼女は、サイレント映画の女形俳優だったが、トーキーの登場とともに仕事を失い、再起を図って大陸に渡り、「宦官」の手術を受け、「女優」としての再デビューを夢見る。
万里江ことマリーさんは「サンセット大通り」「雨に唄えば」といった映画を見るうちに、きっとそこにいたんじゃないかと思うようになった架空の人物だ。架空の人物だけれど、ずいぶんいろいろなことを調べた。戦前の映画のこと、当時の中国、上海のことなどなど。いろんな資料にあたっているうちに出会ったのが、川島芳子という人物だ。
彼女は、清朝の王女として生まれながら大陸浪人の養女となり「男装の麗人」として、日本と大陸を往復した「東洋のマタ・マリ」と呼ばれた。
僕が生み出した「女装」のヒロインと「男装」の麗人が、どこかで出会ってるんじゃないか?
そんなことはもちろんあるわけもないのだけれど、だったら、なおさら「出会わせてみたい」と思ったのが、この「ジェラシー 夢の虜」の発端だ。
史実によると1932年、川島芳子は上海に滞在している。川野万里江が上海にやってきたのもちょうどその頃の設定だ。川島芳子をモデルにして書かれた小説のヒロインの名前は、満里子という。そうだ、この年、二人は出会っている。きっとそうに違いない。
恋と戦争と映画の物語を、鳴り響くタンゴに乗せて描いてみよう。男装と女装、装い続け、演じ続けることを望み夢見たヒロインたちと、彼女たちをめぐる男たちの物語を。 -
劇団フライングステージ第33回公演
「ジェラシー 夢の虜」(同時上演「ミッシング・ハーフ」)
2009年1月24日(土)~2月1日(日)
下北沢・駅前劇場
作・演出:関根信一
出演
川島芳子(清国第十四王女 愛新覚羅顕子) …… 高山奈央子
川野万里江(元女形俳優) …… 関根信一
村西敏雄(上海通の作家) …… 日下部そう
田山隆一(上海駐在武官) …… 加藤 裕
三田千鶴子(芳子の秘書) …… 石関 準
山本和人(田中の部下) …… 岸本啓孝
梅原早苗(従軍記者) …… 相楽満子
木島健太郎(無線技師) …… 遠藤祐生
大槻品子(芳子と万里江の同僚のダンサー) …… 岡田梨那
林美矯(リンメイジャオ・万里江の大家) …… 藤あゆみ
美術:小池れい
照明:黒尾芳昭(Azure)
音響:はらことり
舞台監督:イワヲ
衣裳:中西瑞美
振付:清水美弥子
助成:芸術文化振興基金
制作協力:早瀬知之、水月アキラ
制作:坂田厚子
制作統括:樺澤 良
企画・製作:劇団フライングステージ
協力:ノックス、KAKUTA、プリッシマ、ポかリン記憶舎、青年劇場、クロカミショウネン18、G-up、劇団制作社 -
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