風紋
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1933年(昭和8年)7月、死を二ヶ月後に控えた36歳の賢治を、同年3月に起きた三陸大津波を背景に描く物語。
舞台は、花巻発の岩手軽便鉄道の終点、仙人峠の駅舎兼宿泊所。釜石鉱山鉄道に乗り換えるためには、そこから大橋まで峠の一本道をゆかねばならないが、豪雨で崩れた土砂に塞がれてしまう。駅舎に辿り着いた乗客たちは、三日間の足止めを食うことになる。そこに担ぎ込まれてきたのが、車中で肺病の発作に見舞われた賢治だった。
熱にうなされた賢治はかつて別離を経験した二人――妹トシや、親友・保阪嘉内を幻視する。また駅舎のアヤもまた、大津波で夫を喪っていた。互いの喪失が呼応する。
死にゆく賢治が、最期に残すものが、喪失を癒やし希望を与えていく。
[公演パンフレット記載あらすじ]
もしもこの道がほんとうでないなら
いま、まっすぐに知らせてくれ。
昭和6年9月20日「再ビ 東京ニテ 発熱」
宮澤賢治は、東北砕石工場のセールスマンとして上京中、病に倒れ、死の淵を彷徨う。
病身を引き摺りながら帰郷のため、最後の旅に出る。
死という極限の状況に際し、思い出す。かつて亡き人と約束を交わした旅のことを。
――大正12年7月31日、花巻発。
賢治は北へ向かう列車に乗り込んだ。当時の日本の北限を目指して。
それは、前年に亡くした妹トシの魂の行方をもとめる旅だった。
賢治は、最後の生命を賭けて問いかける。
かつて抱いた青い希望は虚しく潰えた。病んだ躰は更なる歩みを拒んでいる。
そして夜の終わり、彼が目指す〈終着駅〉とは?
***
本作中には宮澤賢治 書簡・短歌・『農民芸術概論』・『グスコーブドリの伝記』
宮澤トシ 書簡、保坂嘉内 短歌の引用がありますが、いずれも著作権保護期間が過ぎています。 -
脚本:長田 育恵
演出:田中 圭介
出演:福田温子、箱田暁史、石村みか、岸野健太(以上 てがみ座)
佐藤誓
瀬戸さおり
山田百次(劇団野の上/青年団リンク ホエイ)
実近順次
峰 一平
神保有輝美(劇団民藝)
美術:杉山至
照明:黒太剛亮(黒猿)
音響:近藤達史
衣裳:阿部美千代(MIHYプロデュース)
演出助手:大野裕明(花組芝居)、日置浩輔
舞台監督:森下紀彦
墨絵:茂本ヒデキチ
宣伝美術:鈴木勝(FORM)
制作:有本佳子(プリエール)、和田幸子(プリエール)
票券:新居朋子(プリエール)、飯塚なな子((劇)ヤリナゲ)
助成:芸術文化振興基金 芸術文化振興基金
劇場:赤坂レッドシアター
主催:てがみ座 -
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