光のあたるほうへ
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普通の平凡な大学生【幹也】は家庭環境にも恵まれ、何不自由ない生活を送っている。主体的な兄とは違い、常に流されながら生きてきたことに多少の焦りやコンプレックスはあるものの、これからもこうやって生きていくんだろう、という漠然としたイメージのまま迎えた大学3年の夏休み。将来への消極的な姿勢を咎められ、疎ましく思いつつも図星過ぎて反論も出来なかった幹也は、鬱陶しい兄から逃れたかったこともあり、夏休みの期間限定でリゾートバイトに行く。憧れの新幹線に乗り、電車、バスを乗り継いで辿り着いた先は、山の中にある施設。仕事内容は飼育家畜に餌をやるだけの単純な肉体労働。周りには何もなく、ただただ空気が澄んでいる。星空がとても綺麗で、考えたくない現実から幹也はまたも逃避をしてしまう。その宿泊先として通された部屋で、一冊の日記を見つける。どうやら過去にバイトをしていた【関口】という人物の日記らしい。どうしても気になってしまった幹也は、躊躇いながらも『1日が終わったらその日の分は読んで良い』という自分ルールを作り、まるで答え合わせをするかのように、日記を読んでいく。そこには、関口がアルバイト中や生活の中で感じた、極々普通のことが記されていた。幹也もまた日記と同様に、極々普通な生活を送っていく。毎日毎日家畜に餌を与えるだけの、単純作業。気になることや不満などがありつつも、何かが変わるとも思えない淡々とした単純な日々の中で、徐々に感覚は鈍くなっていき、ただただ思考のみが繰り返されるようになる。有り余る時間に対して、生活には様々な制限が掛かっていく。ますます思考だけが繰り返される。思考の繰り返しは、やがて思考をすることすら鈍らせてゆき、感覚も思考も徐々に必要がないものに思えてきて…気が付けば、工場の出荷の扉が開き、まばゆい光に包まれる。
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劇場:コホミン(湖北地区公民館)
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