荒野 Heath
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人物は、父、長女、次女、声1(=男)、声2(=女)。
季節は冬、とある農村における父と、その長女、次女の物語である。
父の妻、すなわち長女・次女の母は、特別養護老人ホーム(特養)に入所している。今は疫病の流行により、家族もzoomによる短時間の面会しかできない。
父は九十四歳という高齢で、特養のしくみや介護保険の制度などがよく理解できない。疫病のせいで母と自由に面会できないことに強い不満を感じている。地域の人たちとの繋がりもなくなり、認知機能の衰えがこれまで以上に進んでしまう。それらが原因となって、父は母の施設にも多大な迷惑をかけ、そのせいで母は施設を退所しなければならなくなる。
長女と次女は止むを得ず、母に関わる書類を父に無断で実家から持ち出し、母を無事ほかの施設に移すことができた。しかし父は納得せず、二人に激しく反発する。今後は母の後見を長女に、という娘たちの声にも耳を貸さない。「娘たちが妻をどこかに隠した、何としても自力で捜し出す」、と息巻く。
そのような父に、声1、声2は何やらしきりに話しかけ続けている。 -
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