いびしない愛
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<第26回劇作家協会新人戯曲賞作品>
舞台は小さなふし工場(通称:なや)「富田商店」の事務所。
工場を切り盛りするのは富田家の次女【喜美子】。しかし工場の経営は厳しく、加えてコロナ渦によりいよいよ存続が危ぶまれていた。
姉の【しおり】は左腕が不自由だが、快活で目立つ存在。長年そんな姉と比べられてきた喜美子は素直にしおりに助けを求められない。
コロナによって止まってしまった世の中、不謹慎かもしれないがホッとした人もいる。喜美子もそんな中の一人だった。
せっかく止まった工場を、しおりはまた動かそうとしている。
埋まらない姉妹の溝。
そんな折、事務所に忍び込んできた空き巣【諫山】と出くわす喜美子。喜美子は諫山に「自分を刺してくれ」と懇願する。
期待に応えて生きていくことのめんどくささ。
分かり合えない人を側におきながら生きることの息苦しさ。
それでもあえぎながら日々を続けることは、愛おしい。
「幡多弁」によって描かれる、なやに関わる人々のいびしない愛。 -
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