石橋の伝説 (前編 肥後石工水口橋別離 本編 大川心中物語)
-
(前編)幕末薩摩の地で肥後の石工の言伝えを脚色した物語。棟梁三五郎は石橋築造治水など難工事を成し遂げるが、藩の紛争に巻き込まれ、やがて愛する女の不慮の死を弔い、薩摩の石工達に見送られ、最後に架けた石橋を渡り別れを告げて行く。(本編)東京下町の街娼新子は実は経済研究所の社員蘭子、薩摩藩の祖父同士が兄弟でその兄の子元男爵家の養女となる。養父は大商社の出身だが病を得て死亡養母と暮らす。早くに両親を失くし他家に預けられ、近くの石橋を見上げた記憶を持つ。実父は軍人で敗戦の時二重橋で自決、心に傷を持ち己を確かめたい気持に囚われている。もう一人の主人公国夫は組の構成員だが、実は某国の反政府派の結社員、昭和二六年の二重橋メーデー事件で父を亡くしている。二人は千鳥ヶ淵で惹かれあう。蘭子は前編の芝居を演ずる弟と再会するが、最後は勝越橋のボートで国夫の国外脱出を助けるため服毒し、皆に見送られ国夫も後を追う。
-
-
場合に応じて著作権者への紹介などを行いますので、以下のお問い合わせフォームに作品名を明記の上ご連絡ください。