『ヨブ呼んでるよ』
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希帆はシングルマザーの風俗嬢だ。育児放棄し、仕事も欠勤し、転がり込んだ男の部屋で酒浸りになっている彼女の元に、希帆の兄、大家、兄の弟分のチンピラが代わる代わる訪れては大量の「正しい」言葉を浴びせかける。だから彼女は夢に逃げ込む。
夢の中で、子供の頃からよく会うオジサンがいた。「たかをちゃん」と名乗るそのオジサンは子供のようで、彼といるときは希帆ものびのび存在できた。だがある日たかをちゃんが、「自分は大田区に住む56才だ」と語り出す。自分の夢の登場人物だとばかり思っていたたかをちゃんは、現実の存在だった。「妹をアイして母さんに怒られた」というたかをちゃんの言葉を呼び水に、とうとう夢にも、希帆の虐待と近親相姦の記憶が侵入してくる。
旧約聖書のヨブはよかった。自分の受難を訴える言葉を持っていて、訴える相手の神もいた。でも希帆は言葉を持っていない。声なき人の声は、どのようにこの世界に出現し得るだろう? -
作・演出=西尾佳織
出演=武井翔子(鳥公園)、浅井浩介、黒岩三佳(キリンバズウカ)、鳥島明(はえぎわ)、 山科圭太
舞台監督=浦本佳亮+至福団、舞台美術=中村友美、照明=中山奈美、音響=中村光彩、衣裳=KAKO(桑原史香・秀島史子)、演出助手=山田カイル(抗原劇場)、宣伝美術=鈴木哲生、記録映像=深田隆之、記録写真=中才知弥(Studio Cheer)、制作協力=京都公演・中山佐代、東京公演・つくにうらら(カミグセ)、制作=合同会社syuz'gen
助成=日本芸術文化振興基金、公益財団法人セゾン文化財団、アーツカウンシル東京(東京公演)
提携=こまばアゴラ劇場(東京公演)
共催=アトリエ劇研(京都公演)
協力=レトル、キリンバズウカ、はえぎわ、舞台芸術研究工房 六尺堂、抗原劇場、カミグセ、シバイエンジン
製作・主催=鳥公園
京都公演会場=アトリエ劇研
東京公演会場=こまばアゴラ劇場 -
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