それでも好き
-
あらすじ
夜の公園。女(鈴木)と男(木村)が手を繋いでベンチに座っている。木村が「浮気の線引きって、どこからかな」と鈴木に言い、場面が変わる。
二人は職場において上司と部下である。ある日の仕事帰り、鈴木は木村に食事をご馳走にな
る。既婚者である上司がずっと難しい顔をしながらスマホを見続けている。鈴木は夫婦とはいったいどんなやりとりをするのか、難しい顔をするくらいならもっと素晴らしい奥様とやりとりをすればいいのにと考えながらお酒を呑み続ける。
舞台が冒頭に戻り、夜の公園。酔って男に身体を預けていた鈴木は、木村の問い掛けに目が覚める。とっさに手を離したが、鈴木はおよそ1cmで思い止まり「手をつないでもいいですか?」
と問い返す。手を握った男に対して、チョロいなーと鈴木は思う。
不倫関係から二ヶ月。職場に無言電話が掛かる。鈴木はその相手に自分が上司と不倫関係であること、本気の関係ではないが、どんどん彼のことが愛おしく、そう大きくはないオフィンスのだいたい6m先のデスクが近いのか遠いのかわからなくなっている事を打ち明ける。
男は妻に「今度の休日も仕事だ」と嘘を言い、女の部屋で映画を観ながら触れ合っている。つまらない映画だな、と思いながら鈴木は口元が緩む。木村のスマホからLINEの通知音が響く。触れ合っているのは自分なのに。難しい顔を画面に向けたままの木村に、鈴木は鈴木は上司だった男との距離を測り兼ねて苛立つ。奥様の元に帰る木村へ『私じゃダメですか?』とLINEする鈴木は、既読のまま返信のないスマホを見続ける。
オフィスに掛かる無言電話の相手が木村の奥様ではないかと考えた鈴木は、これまでの不倫の経緯を打ち明けて、男に真心を尽くしているか問う。その日の帰り、エレベーターの中で「子供ができた事を」伝える木村。
鈴木に、ただごめんとだけ伝える木村。鈴木は、自分が生きている限り何度もその言葉が反芻され、その度に胸を締めつけらるだろうと考える。私ではなく奥様に謝るように返す鈴木。二人の時間を誤魔化ず、私の事を愛していたと奥様に謝るよう木村に求める。
二人でその場にいない木村の奥様に謝りながら、鈴木は「それでも好き」と男に伝える。
暗転 -
若手団体短編劇集「東海JUNGLE」上演参加
上演団体 風土の端のスクルット
平成二十九年八月二十二日〜二十七日(愛知県 円頓寺レピリエ ) -
場合に応じて著作権者への紹介などを行いますので、以下のお問い合わせフォームに作品名を明記の上ご連絡ください。