かのじょは、夏
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瀬戸の街。
小さな介護施設で過ごすかのじょの日常は、ぼんやりと、日毎に閉ざされてゆく。
食卓から不意に香る懐かしいにおい。
蘇るあの夏の記憶。
「一緒に日本一の醤油をつくろう」
そう言って手を取ったかれは、帰って来なかった。
長い時間が過ぎたある日、かれの消息を伝えに来たもう一人の女がいた。
女が差し出した細長い包みからこぼれてきたにおいは、かれとの大事な思い出のにおいだった。
とうに忘れたはずの堪えきれない悲しみと憎しみが交錯する。
あの夏と、かれとにおいと、いくら時が経とうが鮮明に蘇る。 -
三股町立文化会館(宮崎)、チェリヴァホール(島根)/演出:鳴海康平/出演:大迫紗佑里、木母千尋、菊原真結、西藤将人、宮地綾、竹野弘識、小林冴季子/照明:村上哲也/音響:佐々木恭平/宣伝美術:橋本デザイン室/プロデューサー:岩﨑きえ
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