ここは、とある地方都市にある産婦人科医院のロビー。明け方に死産があり、どうも空気が澱んでいる。その日夜勤だったベテラン助産婦は、ベテランであるにもかかわらず、死産の当事者にかける言葉もない。それほど今では珍しいことになってしまっている。
　出勤時刻になると、看護婦や患者たちがやってくるが、この日は、院長が不在で、半分隠居の身分の大先生が診療している。大先生は極力暇にしようと院長不在の張り紙を命ずる。
　しかしそれでもやってきたのは、不妊の夫婦、子宮ガンの検査結果を聞きに来た若い女性、そして、今日、三度目の堕胎手術をする独身女性などだった。
　不妊の夫婦は、揃って検査を受け、どうやら夫の側に問題があると判明する。それが明らかになったとき、夫は自分の値段が下がったと言い出す。
　三度目の堕胎手術を受けた女性は、相手の男性に対して、もうセックスをしないと言い、死産の女性は分裂病を発症する。
　また、日勤の新人助産婦は、一度も自分一人で赤ん坊を取り上げたことがないのにも関わらず、産気づいた女性の助産を一人でする羽目になる。
　生命を生み出す華やかな舞台としての産婦人科と、それらに隠れているものの、厳然としてある、堕胎、不妊、子宮ガンなど。そしてそれに関わる男性の態度を産婦人科のロビーという微妙な場所で展開させ、人間関係の移ろいを描き出す。

Ｈ【ａʃ】プロジェクト公演
「ＳＡＮ～天使の生まれる場所」作・演出　くらもちひろゆき
１９９９年１２月１０日（金）１９：００開演
　　　　　　　　１１日（土）１４：００開演　１９：００時開演
　　　　　　　　１２日（日）１３:００開演
盛岡劇場タウンホール

キャスト

登場人物

１　藤堂　忍　　　新人助産婦（２３）・・・・芦澤志帆子（劇団ゼミナール）
２　飯島　美貴 助産婦（３９）・・・・・・福地智愛子（オンシアター自在社）
３　峠　うぐいす　婦長（５１）・・・・・・・坂　 薫 子（Catsきゃあ）
４　山本　佳都子　主任看護婦（３０）・・・・溝 江　 純（もりげき演劇ファーム）
５　杉田　珠美　　看護婦（２６）・・・・・・川 村　 睦（劇団ゼミナール）
６　伊藤　玲　　　看護婦（２４）・・・・・・柏木　史江（劇団ネジ）
７　水谷　早苗　　准看護婦・高看学生（２０）須貝　綾子（もりげき演劇ファーム）
８　小笠原　伊織 産婦人科医・大先生（６９）勝山　智也（帯の会）
９　鈴木　繁美　　事務員（２５）・・・・・・上野由貴子（もりげき演劇ファーム）
１０火野　杏子　　不妊の妻（３３）・・・・・三角　尚子（劇団遊伎座）
１１火野　剛史 不妊の夫（３７）・・・・・斎藤　秀幸（もりげき演劇ファーム）
１２大郷　淳　　　入院患者（２６）・・・・・高 木 　愛（フリー）
１３岩本　環　　　入院患者（３１）・・・・・渡辺　裕子（香港活劇姉妹）
１４岩本　重盛　　その夫（３１）・・・・・・遠藤　浩之（もりげき演劇ファーム）
１５田村　裕恵　　患者（２６）・・・・・・・高野ひとみ（劇団・風紀委員会）
１６竹花　しずか　妊婦（２０）・・・・・・・福田　紋子（よしこ）
１７竹花　道高　　その夫（４５）・・・・・・鎌田　善仁（もりげき演劇ファーム）
１８柳沢　深奈子　患者（２４）・・・・・・・昆　はるか（もりげき演劇ファーム）
１９マリオ　　　　付き添い（不明）・・・・・佐々木達矢（香港活劇姉妹）
２０片岡　福子　　臨月の妊婦（４０）・・・・小島　ゆき（もりげき演劇ファーム）
２１片岡　輝彦　　その夫（２４）・・・・・・高村　明彦（現代時報）
２２下川原　綾菜　高校生（１６）・・・・・・福島　史絵（演劇集団九月とアウラー）
２３久保屋敷　匠　医療機器営業（３２）・・・斎藤　英樹（劇団ゼミナール）
２４森下　多美代　花屋（２３）・・・・・・・三井　真知子（もりげき演劇ファーム）
２５怪しい男　　　泥棒（不明）日替わりゲスト　落合　昭彦（岩手めんこいテレビ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 伊波　伴准（岩手朝日テレビ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 高橋　裕二（岩手めんこいテレビ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 一橋　忠之（ＮＨＫ盛岡放送局）
スタッフ
作・演出　くらもちひろゆき
演出助手　吉田　千佳
　　　　　芦澤　志帆子
　　　　　須貝　綾子
舞台美術　三浦　孝治
装置　　　木村　雪生
照明　　　大泉　千春
　　　　　佐藤　友紀
音響　　　佐藤　浄
衣裳　　　昆　はるか
小道具　　三井　真知子
宣伝美術 増坂　孝裕
制作　　　上野　由貴子
　　　　　溝江　純
　　　　　酒井　麻規

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