帰省した「僕」は古い友人の家を見つけた。小学校の頃は大の仲良しで、けれども中学校になると疎遠になってしまった「カタフチくん」だ。噂によると「カタフチくん」は中学校でいじめにあい不登校になったという。誰もその消息は知らない。「僕」が見た彼の家は周りの田畑が次々と真新しい住宅に変わっていくなかでポツンと当時のままそこにあった。彼はいまどうしているのだろうという「僕」の妄想はあっという間に膨らんで「僕」を不思議な世界へ迷い込ませる。そこは「カタフチくん」の家であるはずなのに自分自身の家かと思えばどこかの王国の王の間だったり、かつていっしょに遊んだ用水路のトンネルだったり。長く暗いトンネルを友だちといっしょに探検したあの夏。「カタフチくん」との思い出のなかを「僕」は歩いて行く。そしてそのトンネルを抜けた時、はずみで転んでしまった「僕」に周りの友だちは手を差し伸べた。「大丈夫？　カタフチくん」と。

〈初演〉
［会場］京都市東山青少年活動センター(京都市東山区)
［出演］高杉征司、藤原大介、大熊ねこ・大沢めぐみ(Wキャスト)、西村貴治・山口吉右衛門(Wキャスト)
［舞台補佐］川上明子［照明］河口琢磨［音響］森永キョロ
［主催］下鴨車窓
［共催］公益財団法人京都市ユースサービス協会
※京都府文化力チャレンジ補助事業

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