髪をかきあげる
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畳の部屋、ガラステーブルの上に恋人が立っている。
馬の真似をしている。
トモヨは恋人を追い返す。
勝手に門限を決めて、一人になる時間を作っているのだ。
そのくせ一人になると「どうして帰るんだバカ」と呟くような孤独な心持ちがやってくる。
そんなトモヨに新しく強烈な恋が訪れた。
職場の先輩。
妻との孤絶に苦しむ先輩はトモヨに問い掛けた。
「心に空洞があるでしょ。」
そして「髪がかきあげられるくらいになったらもっと素敵だなあ」
反発しながらも髪を気に1ようになってしまうトモヨ。
彼女の出会う人たちはどうしてこうも淋しいのか。
淋しさに悶えて夜の川をさまよう蛍みたいな現代人たちの心象はトモヨにちっとも希望を与えない。 -
奈良県史跡文化センター
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