飛べないくまんばち
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【あらすじ……僕のひとりごと】
あの日も朝からいつものように、スクーターに乗って工場へ向かってた。少し寝坊して、少し遅れそうだった。遅刻には厳しい勤めだったから、スクーターを飛ばしてた。
でも別に、仕事を大事に思ってるとか、なにか責任のある立場にあるってわけじゃない。組織の一部。機械の歯車。交換可能。
と――目の前をなにかが横切った。黒くて、寸詰まりで、ブンブンうなってて――ハチだ。くまんばち!
なんだよ! あぶないって。ジコるって。仕方なく、僕は急ブレーキをかけた。目の前は青信号だってのに。
その時、顔の前を飛んでるくまんばちと目が合った。――と、父さん⁉
そのくまんばちは――僕の死んだ父さんだった!!!
くだり坂の人生を転がりつづける僕と、その僕を心配して現れたくまんばちの父さん。
ときに救われ、ときに窮地に追い込まれ、ふたりがたどりついた先とは――?
「くまんばちってのは、身体に比べて羽が小さいんだ。(両手を小さく動かし)バタバタバタってね。力学的に見ても、物理学的に見ても、飛べないそうなんだ。でも実際には飛べる。 それは自分が、力学的にも、物理学的にも、飛べないってことを知らないからなんだ」
2014年10月広島友好の一人芝居で初演。登場人物7人。80分。
2014年日本の劇戯曲賞最終候補
2017年西の風戯曲集に掲載
2022年東京芸術座アトリエ公演
2022年演劇会議170号に掲載 -
2014年10月広島友好の一人芝居で初演
山口県・宇部市シルバーふれあいセンター -
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