S市西町にある集団住宅「西の森団地」のD棟4階に位置する加胡路子の家。12月半ばの日曜の深夜。部屋ではひと組のふとんに路子と、老年の男・広満、ケン一が横たわっている。と、街の暗闇にサイレンが響き、爆発音が幾度となく起きる。そこに路子の携帯電 ...
ジャンル“悲劇” 15本が見つかりました。
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彼は闇の中、その者たちと共に高みに向かった。標高なのか、名誉なのか、精神なのか、そこに待っている高みがどのような類のものなのか、彼自身興味は失せていた。立ち止まり、黙々と進む人々の行列を眺め、感慨深くため息をついた。そしてかつての孤独と不安 ...
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【あらすじ】 ある事件の公判が注目されていた。二年前にナガイワタルという男が犯した殺人事件だが、それを獄中から予言し、的中させた死刑囚がいたという。 その死刑囚の予言はウェブ上で「ウシオトコの予言」と表記された。 なぜウシオトコと呼ばれるに ...
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大津皇子は類まれな資質を持つ偉丈夫である。一方皇太子草壁皇子はこれに劣る。これを危惧して后(後の持統天皇)が仕掛けたのが、大津皇子謀反事件の定説と言えよう。だが、この事件は不思議この上ない。事件収束後ただちに関係者が皆許されていることだ。先 ...
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下にはあの人がいる あの人の気配がする 上にはあいつがいる あいつの足音が聞こえる ここは地上か 地の底か 永遠に繰り返される 男と女の物語
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文化四年(一八〇七年)。蝦夷(今の北海道)でロシアによる侵略が相次いだ。幕府は北国だからという理由で、東北諸藩に蝦夷地北方警備を命じた。 津軽藩は斜里に一〇〇人ほどを派兵。武士だけでなく大工や鳶、百姓も多数いた。その中には斉藤文吉と藤崎村の ...
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1903年大阪万博で起こった学術「人類館」事件をモチーフに、沖縄近現代史が描かれている。しかし、歴史の流れをそのまま反映したのではなく、時間と空間が交錯する中で、沖縄戦やベトナム戦、そして復帰運動など沖縄を取り巻く出来事がダイナミックに描か ...
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2010年、2012年に上演した烏丸ストロークロックの短編2編。生活に困窮する夫婦、認知症の老夫婦たちによる切なくキンキーな純愛短編作品。「仇野の露消ゆる時なく、鳥部山のけぶり立ち去らでのみ住みはつるならひならば、いかにもののあはれもなから ...
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「玉砕の島 に 、 蝶が舞う ・・・哀しき兵士の魂は、 美しき 蝶に乗りて 青き海を渡る・・・」 我々は、日本人戦没者310万人、アジアの犠牲者2000万人の 悲惨な歴史を 風化させてはならない。そのために、「玉砕」という美名の隠された凄惨 ...
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遠くない未来の日本。瀬戸内海の原発事故により中国地方東部が放射性物質により汚染され、帰還困難区域に指定された世界。事故から8年経過した頃、帰還困難区域で身元不明の男が発見された。男は記憶を失っていたが、遺伝子検索技術を用いて家族と面会するこ ...